一年前の1月15日、ニューヨーク市から飛び立った飛行機のエンジンにギースが突っ込み、エンジンが停止した。乗客はほぼ死にいたる危機におちいったが、機長のすばやい判断で凍てつくハドソン川に不時着。レスキューの迅速な行動によって、大事に至らずにすんだ。
 それは“Miracle on the Hudson”と賞賛され、乗客は“We have a second chance in life”(第2の人生のチャンスを得た)とシンプルに喜んだ。

 その同じ日の今年、今日のウィスラーは47cmの新雪。人々はフレッシュトラックに殺到した。
 僕の後ろにいたオーストラリアの女性は初めてのフレッシュトラック。「これって、食べてから滑るの?それとも滑ってから食べるの?」って聞いてきた。「友達から誘われて、時間通りに来たのに、友達は勝手にずっと前の方に並んじゃっているの」って困っていた。“パウダーの日には友達はいない”と普段から言われているが、まさにその通りの行動。

 ゴンドラに乗ったら、「おい、クローズドされているオリンピックコースは絶対にいいパウダーだぞ」。「そんなところはいったらテーザーガン(電気銃みたいなもの)でやられるぞ」(以前、テーザーガンの使用に関していろいろ議論された事件があった)ってジョークを言い合って盛り上がっている。オリンピックに関してはいろいろなジョークも生まれているようだが、今日のウィスラーは“Miracle on the Whistler”といえるような日になるはずだった。
 
 しかしながら、強風とあまりの降雪のために、ゲレンデ内のなんでもないような所でも雪崩発生。天気が落ち着き、ゲレンデ内のチェックが終わるまで、ウィスラー山もブラックコム山もクローズドされた。
僕らは折角ラウンドハウスまで上がったのに、そこから滑ることができず、ゴンドラ中間駅までゴンドラダウンすることになった。

 
 しかしながら第二のチャンスはすぐさま昼前にやってきた。急速に天気が回復し青空が覗く。そしてゲレンデは少しずつだがオープンされはじめた。ハイアルパインに行くことができないので、今日はソーラーコースター・チェアー(ゲレンデの中腹にある)にすごいラインアップ。

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ソーラーコースター・チェアーのラインナップ。

 ツリーランには重いけれど楽しい47cmのパウダー。
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L:Around Easy Out Area S:Unknown

 そして今日降った47cmのパウダー、両山のハイアルパインエリアは完璧にアンタッチで残された。

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完璧にリセットされたブラックコム山のクーラーエキストリームエリア。

 今日の午前中は10年に一度もないような大変な天気であったが、午後には晴れ間。そして明日は晴れの予想。僕らは第三のチャンスを得ることだろう。

1月15日 新雪47cm 積雪283cm 山頂温度-5℃ ビレッジ温度1℃