わが谷はオリンピック2年前。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/02/15 09:00:13




 この1週間ほどややこしい天気が続いていたが、2月13日の今日、久しぶりにブルーバード(晴天)な一日だった。昨日は強風でハイアルパイン・エリアがオープンしなかったので、今日の新雪はたった2cmということだったがあるところにはあるだろうという予想どおりで本当に楽しかった。
 おりしもウイスラーはオリンピックまで丁度2年を切った。この数日間、カナダのTV局がきてウイスラーの様子をリポートしている。現在行われているカナダ・スキー国体に続いてFISのワールドカップが来週に控えているので、ずっと盛り上がりっぱなしのウイスラーだ。わが谷はオリンピック2年前。
 ビレッジではTV局主催でオリンピック放送ごっこができる。ちゃんとTVカメラの前でリポーターの振りをして「カナダは今日も金メダル、ウイスラーローカルが金をとりました。これで合計14個の金メダル獲得!!」なんてやってTVの画面で自分を見ることができる。もちろんそのDVDがもらえる。自分のTV写り?がチェックできるので是非みんなにもやってもらいたい。2010年は正式にはバンクーバーオリンピックだが、一部ではバンクーバー・ウイスラーオリンピックと呼んでいる。最近、スケート競技をやるリッチモンドではバンクーバー・ウイスラー・リッチモンドオリンピックと呼んでいるらしい。たぶんそのうちスノーボードをやるウエストバンクーバーあたりも入ってきて段々なが〜い名前で呼ばれることになるかもしれない。

 今回は番外編で昨年の4月26日にいったカユーシュ・クリークバックカントリについてちょっと。
 ウイスラーから車で約1時間、道路わきに車を停めて大体2時間ぐらいのハイクで写真4のキャビンまでたどり着ける。ここをベースにして周りの山を登って滑る。 
 キャビンの中には懐かしいトレバーピーターソンのポスターやMTBのサムライレースで“ストロンゲスト・サムライ”の称号を得たビーカーのステッカーが貼ってある。二人とも雪崩で亡くなってしまったが、その生き様は今も語り継がれ人々に勇気や力を与え続けている。こんなところにも彼らの痕跡がある。
 近くのクリークから水を汲んで炊事、キャビンの中には薪ストーブや流しがありキャンドルの明かりの中での食事。そとの風の音や温度にも敏感になってくる。次の日の朝は自然の光で目覚める。やっぱりこういうのっていいなあ。一緒にいってくれた友人の一人はカナダ雪崩観測士の資格を持っているのでクイックで雪崩観測に関する実演もやってもらった。またみんなで一緒にいく機会があったらいいなあ。

 ウイスラーの2月はまだまだ冬のシーズン半ば、3月上旬に夏時間になったらもっと日が伸びてバックカントリーなどやれることが多くなる。夏時間って本来はエネルギー消費を減らすためのものだけどウイスラーでは冬をより楽しむものっていう気がする。まだまだ楽しいウイスラーです。

2月13日 新雪2cm 1週間で47cm 積雪247cm シーズン降雪量763cm 山頂温度-12℃ ビレッジ温度+1℃

写真1:2月11日、ビレッジのTV局ブースでオリンピック放送ごっこ。
写真2:2月13日、“クリフジャンプ!!”
    R>Satoshi L>Blackcomb Mt Bushrat Area
写真3:2月13日、ブラックコム氷河コース。
写真4:昨年4月26日カユーシュ・クリークBCより“キャビンにて”



私はヘンな夢を見た。 投稿者:野口英雄。 投稿日時:2008/02/07 12:32:41




 ここ数日、極パウのウイスラーです。おりしも2月3日からウイスラーはウインター・プライド・ウイークに入っている。「この寒いのに、おそろいのTシャツで楽しそうに歩いている男の人達を見た、ほかの人はみんなダウンを着込んでいるのに体温が違うのか?」という話を聞いた。いずれにしてもウインター・プライドの人たちもこの極パウを楽しんでいるのだろう。このイベントについて詳しく知りたい人はこちら(http://www.gaywhistler.com/)。
 このイベントもウイスラーにすっかりなじんだ。かつて一度見に行ったファッションショーは本当に素晴らしいものだった。パリとかNY、東京でのファッションショー自体を知らないので比較の仕様がないが、見ていてとても刺激を受けるものだった。

 まあ、このウイークにちなんだ話題というわけではないが、私がかつて見たヘンな夢の話を…。
 僕は仕事の関係で夏はカナダの東のほうの某社宅に住まわせていただいていた。いわゆるよくある話だが、何かが「出る」らしいのである。まあ、なんとなくぐっすり眠れないような気がするなあという感じはあった。僕は何も見えないし、基本的には何が出ようと眠るのを邪魔さえされなければそんなの気にしない。でもどうも夢見がおかしかった。
 @友人にスキンヘッドのスキーヤーがいて、もう結婚して可愛い娘が二人いる。
 その友人が夢に出てきて、ベッドに横たわっていきなりパンツをおろして「見てくださいよ、俺はもう娘がふたりいるからチ○チ○いらないので切っちゃいました」ってきれいに切り取ったアトを見せつけられた。「スキーも思い切っているが、さすが思い切ったことやるなあ」ってとりあえず褒めるしかないので褒めた。
 まあ、一応気になったので本人にメールしたら「いや、俺はほかで使う予定ですから切らないですよ」って返事がきた。
 Aこれも某スキーヤー。
 やはり彼がベッドで寝ているときになぜか活きたでかいロブスターを両手に持っている、「なにしているの?」って聞いたら「これがいいんですよ」って。いったい何をするつもりだったのだろう?
 「何かチョンギリ系の夢ですね」って言われたけど、夢見としてはそれまでの夢とはカテゴリーが違った。夢は個人の隠れた思考とかが記憶の海馬を刺激して見るとか言われたけど、僕には、外部の「何か」がそういう夢を見させているとしか思えなかった。「何か」がいるとしてもそっち系の「何か」だったのだろうか? まあ、現実に埋もれているより夢は見ないより見たほうがいいけど…。

 ところで2月のウイスラーは大会・イベントがたくさんある。大会・イベントに参加する人達はみんな夢を持っているのだと思う。ウイスラーをはじめとして、カナダという国はいろんな夢を一杯見させてくれる国だなあって思う。                

                  LIVE LOVE and LAUGH

 2月6日 新雪4cm1週間で48cm 積雪241cm シーズン降雪量716cm 山頂温度-11℃ ビレッジ-3℃

写真1:ウインター・プライドの看板。
写真2:2月6日、数日振りにハイアルパインがオープン。極パウでした。
    R>Kojiro Horike L>Blackcomb Mt  Off Rescue Rd Mash Mash
写真3:BC州のオリンピック記念の車のナンバープレート。“The Best Place On Earth”僕もそう思う。
    Plate Photo By Brad Kasselman
写真4:滑れなくても大スキー。ウイスラーにちなんだ新聞記事を送っていただきました。YNさんありがとうございます。
ウッポウポポーイ、雪だ雪だ。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/02/01 14:37:02




 この数日、いい感じで雪模様のウイスラーです。ちょっと前まで10日間ぐらい雪が降らなくて硬い斜面を滑っていたら膝が痛くなってきていた。そしてちょっと体調を崩したので、家で30時間ぐらい寝たり食べたりして引きこもっていた。「野口英雄の失われた一日だ」なんて思いつつ何もしなかったのだが、そのおかげでか膝が痛かったのが直った。

 ところで緒事情があって、この冬は車を廃車したためにバス通勤になった。バスに乗れば今までになかった出会いもあるのではないかという目論見もあったのだが、同じ時間にバスに乗っても同じ人に会うとは限らないことがわかった。というよりウイスラーでは同じ時間に同じバスが来るとは限らないこともわかった。5分や10分は平気で遅れるし、15分毎に来るべきバスが一本ぬけて30分ぐらい待つこともシバシバなのだ。たまに時間通りにバスが来るととても得した気分になる。でもそのバスも、もしかしたら一本前のバスがちょうど15分遅れたのかもしれない。そんなわけで同じバスに乗っているつもりでも同じ人に会うことは稀で、ましてパウダーが降ったら何にも増して早起きして滑りにいってしまうウイスラー人たちに規則正しい1週間の生活というのはないのである。
 また、“見たことのあるおじさんだな”と思ったらウイスラーの市長さんで、同じバス路線であることがわかった。見かけるたびにスキーのかっこをしている。直接確認したわけではないが、おそらくはたぶんたまたまお休みの日で、たまたま僕がみかけたのであろうと思われる。
 一応ウイスラーバスの名誉のために付け加えておくと、始発地点ではだいたいほぼ時間通りにバスは発車しているのでご安心を。

 話はとぶが今回はちょっとデータ的なものをひとつ。
 ブラックコム山のホストマン氷河コースのTバーの乗り場が04-05シーズンに変わった。写真はそのときのTバー乗り場近くの氷河の裏側。青氷がとてもきれいで、これはこれで貴重な経験だった。いまはこの場所は完全に埋まったがその年から乗り場の支柱が一本ずれた。
 この年以前にきた人たちは一番端の支柱からTバーに乗っていた。支柱一本分の氷河が後退したのだろう。温暖化かどうか僕ははっきりいえるほど知識がない。でもスキーやスノーボードが室内競技になってしまい、いつの日か人工スキー場でしか滑れないうのでは寂しい。
 やっぱりウイスラー人のように雪が降ったら喜び勇んで外で遊ぶというのはとても正しい。“一片の雪の結晶からも地球が不思議な惑星だと教えてくれた”(地球と遊ぶ達人、中谷宇吉郎展より)中谷宇吉郎博士の「雪は天から送られた手紙である 」という言葉は有名だが、僕らがパウダーを喜ぶ姿こそがその手紙の天への大きな返事の一つだと思う。

 1月31日 新雪15cm 1週間で44cm 積雪236cm 山頂温度-11℃ ビレッジ-3℃



写真1:2005年1月4日より、氷河ケーブの内側。
写真2:ケーブよりグレーシャーエクスプレスチェアーを見上げる。
写真3:2008年1月31日現在のホストマンTバー。
写真4:2008年1月27日の写真より。
    R>Taiyo Nakanishi L>Blackcomb Mt Bushrat Area  
青空雪がいよいよ白し。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/01/28 00:11:00




 ここ10日ほど晴天の続いたウイスラー。1月26日のオージーデイの今日、午後から久しぶりに雪が降ってきた。これから数日は再びパウダーにまみれる日が続きそうだ。
ところでオージーデイは“1788年最初の移民団がシドニー湾から上陸した日であり、建国記念日とはされてない”とのこと。
 まあ、「そんなの関係ねぇ」と、オージーが朝からお酒を飲んで大騒ぎをする一日というのがウイスラーにすむ人たちの見解だ。なんにしても自分の国の記念日で世界中どこにいても盛り上がれるのはいいことだ。

 1月14日は日本の休日、1月21日はアメリカの休日。このところゲレンデではご家族で遊ぶ方々を見かけることが多い。実際ぼくも年末年始から日本からこられたご家族のガイドをさせていただく機会が多かった。
 「ママが家族でできるスポーツをしようっていう事ではじめたスキー」「いまではパパが一番はまっている」というご家族、すごくアグレッシブはパパ。アグレッシブすぎて転倒したときに「パパ大丈夫?」っていたわりの声をかける娘さん達。
 「今年は仕事の都合で弟は来れなかったけれど、毎年ウイスラーには家族で来たい」というご家族、父とお兄さんの元気な叫び声がウイスラーに響いていました。
 また父は東京オリンピックの聖火ランナー、双子の姉は元モーグル選手、妹はテレマークの世界選手権選手、妹のだんな様はファイアーファイターでギャグスペシャリストいう“たたかう”ご家族もこられた。ガイドを担当したウイスラーのギャグ王Aさんもギャフン。
皆さん、また来てくださいね。

 僕は“未来は明るいものでなくてはならない”と思う。世代を越えた元気な交流こそが未来を明るく作っていく原動力だと思う。暗い未来ならいらない。
 スキーみたいにみんなで自然のなかで笑いあったりいたわりあったりできるスポーツは義務化してもいいのではないかとさえ思う。スキー特定財源をつくってリフト代とスキー代は交付したほうがいいかもしれない。ただしお金の出所は私は知らない。
 僕ら日本人は日本国憲法25条で[健康で文化的な]生活を営む権利が保障されている。健康と文化の中から遊びが生まれてきたのか?それとも遊びの中から健康や文化が生まれてきたのか?
 少なくとも、こういう遊びを知らない人間に未来をまかせていいものなのだろうか。

 “パウダー楽しい”“すべりてぇ”“とびてぇ”っていう精神は肉体の力に比べてはるかに重大なものである。そう思うからこそ健康に気をつけて、未来のために働く。乱暴だがそういう情熱の中から文化や科学が発達してきたのではないか?

 そんなわけで私は明日も滑らなくてはならない。

1月26日 新雪0cm 積雪218cm 山頂温度−12℃ ビレッジ温度−5℃ 曇りのち雪


写真1:1月18日、ブラックコム山のテラインパークより(ほんの一部)。
写真2:1月21日、チューブパーク。チューブに乗って滑ろう!!
写真3:1月24日、ジュニアの高速トレーニング。2月にFISワールドカップがウイスラーで開催される予定。
写真4:1月26日、オージーデイ。朝の8時−5℃の気温中、Tシャツに国旗をくくりつけた姿で、ワインのビンをバットにしてベースボールごっこをして盛り上がっていました。 
やっぱりヘリスキーは最高!! 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/01/21 16:34:29




「私には夢がある」という演説で有名なマーティン・ルーサー・キング牧師の日の休日(1月21日:アメリカの記念日)でとても賑わっているウイスラー。キング牧師の誕生日は1月15日だが、今年は21日がキング牧師の記念日でお休み。
ビレッジの中心地は、ゆっくり歩いていると後ろからどつかれ、早く歩こうとすると誰かにぶつかる、というまるで新宿でも歩いているかのような混みぐあい。リフトのラインナップもすごく、冬のスポーツとして、または文化としてスキーやスノーボードがしっかり根付いているんだなって感じさせられる。

よい天気の続くウイスラー、数日前の1月17日に今年もヘリスキーに行かせて頂いた。とても感謝。僕らゲレンデのスキー・スノーボードガイドは、お客様にヘリスキーの素晴らしさや楽しさを紹介するので、“実際ヘリスキーとはどんなものなのか?”という視察をかねてシーズン中に一度行かせて頂いている。今年はガイド仲間4人で行かせて頂いた。同じ行かせて頂くのでも仲間と一緒ならなお楽しい。この日も日本人やドイツ人、アメリカ人、フランス人、ニュージーランド人など国際色豊かな顔ぶれの人たちがヘリスキーを楽しんだ。

今回の僕のヘリスキーガイドはダリルさん。ガイド暦25年ぐらいの超ベテラン。かつてはヘリスキーカンパニーのオーナーの一人だった人。
グループの紹介の後、雪崩が起った時のシナリオでビーコンサーチの仕方など習う。そしてヘリポートに移動して、ヘリに乗り込むときの注意事項などを習う。ちなみにウイスラーヘリでは、今年ヘリコプターをスーパー205という機種に変えたとのこと。軽量化が図られ、馬力もアップした最新機種だ。ヘリのパイロットはデーブさん。「おれはただのドライバーだよ」というのが口癖だそうだが、このデーブさんも20年以上ヘリスキーパイロットを勤める大ベテランさん。ヘリの操縦暦は30年以上になるらしい。
また、ビデオや写真を撮ってくれるマークさんも同乗。スノーボーダーのマークさんは10年以上の経験者。その日に撮った生ビデオに、イントロをいれて音楽を合わせるだけで立派な一本になる一発撮りの職人さん。

今日はイプスー山エリアにヘリで飛んでいった。コースはロートニーとセンターランを午前中に滑る。
ランチはダリルさんの判断で、とても景色のよいイプスー山頂上付近の岩陰でとった。通常はもっと標高の低い山間部でとることが多いとのこと。ダリルさんの粋な判断でランチがより美味しく頂けた。
午後にはルーズホップとパッツと全部で合計4本滑った。

滑り終わったらパブに集合してその日のビデオや写真を見ながらガイドさんを囲んで乾杯。

フレンドリーで頼りになる大ベテランのスタッフばかりのウイスラーヘリ。僕のガイド仲間4人、この日は一日楽しませて頂きました。本当にありがとうございます。
ウイスラーヘリHP:http://www.heliskiwhistler.com/

写真1:ヘリスキーガイドのダリルさんにビーコンの使い方など習う。
写真2:ヘリパイロットのデーブさん。
写真3:フィルマーのマークさん。
写真4:筆者、場所によっては腰パウに近かった。 Photo By Aki Hashiura
“いぶし”銀色のシーズン。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/01/18 16:48:45




しばらく続いていたパウダーもひと段落。よい天気のウイスラーが続いています。

日本では「銀色のシーズン」という映画が封切されて、いろいろな感想やつっこみを聞くことが増えてきた。まだ
見てないけど、早くみてみたいなあ。
僕の世代では「わたしをスキーにつれてって」という映画は見た人が多いので、その話では結構盛り上がる。さら
に上の世代では「スキーの脅威」とかだろうか?
「銀色のシーズン」を見た人たちが20年、30年してもこの映画で盛り上がれるといいなあ。


ところで僕は先日誕生日。47になりました。白馬47っていうスキー場は行ったことないけど、同じ47なので
なんだか親しみがわく。いつか行ってみたいなあ。
誕生日に「おめでとう」って、お祝いの言葉を頂いた。ありがとうございます。
「生まれ変わったらまったく同じことを繰り返したいなあ」っていえる程の47年ではないけれど、でもたくさんの
いろいろな事は「また繰り返したいなあ」って思う。楽しかったこと多いし、これからも多いだろう。

ところで天気安定してきているので、バックカントリー(BC)に行ってきた。ゲレンデから気軽に行ける範囲でも、
半日か一日あればまだかなりいいパウダーに出会える。この一週間ぐらいでウイスラー・ブラックコム周辺のBC
はどんどんあらされてしまうだろうから、ちょいとお先にという感じだ。

今回はブラックコム山から、ブラックコム氷河を登ってデッカー山方面に向かって滑りおり、ボディーバックボウ
ルというエリアに登り返して、ブラックコムの7thヘブン戻るコース。正味3時間ぐらいのコースだ。
今回のコースの近くにはディジーズリッジという急なシュートばかりのエリアもあるので機会があったらアップし
たいと思います。

写真は数日前のウイスラーと、今回のBCより。



ところで極パウ“あけましておめでとうございます”に、ウイスラーで雪崩で二人亡くなったと書いたが、亡くな
ったのは一人の間違えでした。訂正いたします。
また“アラブの王様も”の続報も友人から届いた。「2階建ての A380 も購入したようなので次回は
A380 でくるかもしれない???」とのこと。

http://www.airbus.com/en/presscentre/pressreleases/pressreleases_items/07_11_12_kingdom_holding_a380_FR.html


1月16日 新雪0cm 山頂温度-4℃ ビレッジ温度-11℃ 積雪242cm 晴れ。

P1. R: H.Noguchi P:Andy Quark L:Excelerator Area.
P2. R:Andy Quark Toward Decker Mt, The Mark of Avalanche. Jan 16th.
P3. R:Eguchi Returning from Backing Decker Mt.
P4.R:Andy Quark L:Body Back Bowl Area.
アラブの王様も。 投稿者:野口英雄。 投稿日時:2008/01/12 03:59:30




「おい、雪降っているぞ」。まったく知らない人同士でも嬉しそうにニコニコしながら話している。

今年のウイスラーはずっと粉雪が続いている。1月11日現在で積雪が245cm、新雪15cm。しかもビレッジまできっちり雪が降っているの。ここ数年は、“たしかに山上は雪だけどビレッジは雨”なんていうことが多かった。
でも今年のウイスラーは本当にいい雪の状態がずっと続いているのだ。
また、バンクーバー近郊のグラウス山スキー場でも積雪、驚愕の327cmだそうだ。今年のカナダはスゴイ。

今回は、ウイスラーがトニカクよいのだというエピソードをいくつか、、、。

昨シーズンのことだが“アラブの王様”がスキーに来たこと。噂では二つあるスキー場のひとつを貸切にしたかったとか?でもウイスラー・ブラックコムが許可しなかったのでしかたなくシンフォニーリフトエリアのみ貸切にした。でも本当は、貸切ができないなら全部買い取るつもりだったとか…???

確かに僕の記憶でもシンフォニーリフトが動いたり止まったりと不可思議な動き方をしていたときがあった。

泊まっていたのは某高級ホテルで、“王様が手をあらうときは、水にかならずバラの花びらが浮いていた”“10万円はする花束が毎日お部屋に届けられた”などなど。

今年は雪が多く、雪崩コントロールや強風の関係でハイアルパインエリアがオープンしないときがある。
「たぶんそれはアラブの王様が貸切にしているにちがいない」、、、、。

こんな話をバンクーバーの航空ファンの友人に話したら「そうだよ、王様の専用機、ずっとバンクーバー空港に停めっぱなしだったよ」と写真を送ってくれた。曰く、「空港の離発着代は高いけど、停めておくのはそんなに高くない」のだそうだ。といってもスキーをするのに飛行機、国際空港に停めっぱなしですから豪快です。

ビル・ゲーツがウイスラーを好きなのはよく知られた話。なんでもウインドーXPの社内での開発コード名は‘ウイスラー’だったとか。ビスタの開発コード名はウイスラーのパブのひとつ‘バッファーロービル’だという話を聞いたことがある。もちろん確認したわけではないけどね。ジョークのひとつに「ビル・ゲーツを助けたら家を買ってもらった」というのがある。もしかしたらホントにそんな人がいるのかもしれない。

イギリスのチャールズ皇太子がウイリアム王子とヘンリー王子とこられたこともある。

「このホテルのジャクジー、ブラッド・ピッドがはいったジャクジーなのよ」って日本からこられたご婦人方。そうなのだ。ウイスラーでは滑るだけではなくて、人それぞれの色々な楽しみ方があるのだ。

ところで現在のゲレンデ、がけ飛びあり、パウダーありでホントに楽しいですよ。今年はFISワールドカップDHやスーパー大回転もある。ウイスラーちかくのカラハンバレーでは純ジャンプ会場やXCスキーのコースもできた。
レースやBC、パークのことも随時アップしていきます。

お楽しみに。

P1. Private Airplane from Arab. Photo by Masanori Okuda
P2. Autograph of Bill Gates @ Sushi Village Restaurant
P3. R: Santiago Guzman Cimorelli Country:Argentina He did 180 landing.
P4. R: Taiyo Nakanishi. Photo by Hayahiko Speedy Takada
新雪34cm、一週間で99cm。   投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/01/07 13:07:37




1月5日、仕事は休み。今日の新雪34cm、この一週間では99cm。積雪もついに2m越え。

きましたねウイスラー。今年のウイスラーはいいですよ。
朝からガイド仲間と3人でブラックコム山へ。どこをどう狙っていくか?、オープンしているリフトの並び具合や、すでに先に上っている連中がどこを狙って滑っているか山全体を頭に描きつつ作戦を練る。
新雪34cm。日本の豪雪からすると少なく感じるかもしれない、、、。
ところが風向きや山の地形、ツリー、そのほか色々考えれば吹き溜まっているところは確実に倍の新雪はあるはず。こういうところに頭は使わなくてはナラナイ。兎に角ウイスラーのパウダー争いは熾烈を極めてイルノダ。

エクスカリバーゴンドラからエクセレレーターリフトへ乗り継ぐ。大体2本先までは滑るところを読んで今滑るところを考える。リフトの上では周りをよく観察する。そうしないとゲレンデでは美味しい新雪は味あえない。
まずは小手調べにグナリーノッツ。さすがに滑った跡はあるがまだまだ荒らされていない。一個前のリフトに乗っていたカナディアンが同じ場所に突っ込んでいく。負けていてはイケナイ。

JC(ジャージークリーム)リフトの乗り場で他の友達3人と会う。「今日はどこ飛んでも痛くないですよ!!」と興奮気味に話す。合流して滑ることにする。

「今日は飛ばなきゃだめでしょ」

そうなのである。こんな日はどんな形で飛んでおちても気合さえ入って勢いさえあればケガなどしないものなのだ。多少腰が痛いとか首が痛いとかはあるかもしれないけれど、、、。勢いよすぎてドフラットにとんで前回りをしようとも、、、。

「いままで飛べなかったところを飛んでみたい」。「この高さははじめて」。

そうなのである。こんな日はいかなくてはナラナイ。パフパフの極パウは神様の贈り物。「君が自分の限界を超えるときなんだよ」っていうメッセージ。一緒に遊べる仲間っていいよ。20代40代、一緒になって遊んだ。最後の最後まで結構美味しいパウダー頂ました。

滑り終わってからガイド仲間3人と、もう一人休みのガイド仲間をさそい4人で飲みに行った。今度は22歳、28歳、39歳と早生まれだから正式には来年が年男だが学年的には4回目年男の私。
年齢に関係なく今日のパウダーについて語りあった。う〜んウイスラーにいてよかった。

何かの拍子にコンピューターの話になった。6年間OLをしていた28歳はコンピューターに詳しい。「ビスタはI E【アイ・イー(エーインターネット・エクスプロアラー)】とかいろいろ立体的なんですよ」。「え、アイ〜ンが立体的???」
あごに手を当ててポーズをとっていたのは28歳OL休職中よりウイスラー暦のちょっと長い男共たち。

ウイスラーに長くいてしまうと頭の使いどころが変わってきてしまうのかもしれない。

P1: Big Line Up for the Lift
P2:R Taiyo Nakanishi L Around JC chair
P3:R Yukko Araki L Around JC chair 
P4:R Rie Hirai L Around JC chair
あけましておめでとうございます。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/01/06 23:30:57


あけましておめでとうございます。

おおらかなカナダのウイスラー、今年も2008年を無事に迎えました。今年もよろしくお願いいたします。
12月31日、僕は友人宅に恒例どおり呼んでいただき、DVDに録ってある紅白歌合戦をみながらビールやシャンパン、ワインで乾杯。美味しい食事で2007年を送り2008年を迎えました。
こちらの友人宅にはいつもお世話になっています。ありがとうございます。

例年はウイスラービレッジに繰り出してカウントダウンに参加してたが、今年は静かに友人宅のTVでカウントダウンと花火を楽しんだ。面白かったのはUSAのシアトル(ウイスラーから車で4,5時間)のTV番組のカウントダウンの時間と、カナダTVのカウントダウンの時間に20秒ぐらいずれがあったこと。
どっちがきちんとグリニッジ時間に合わせていたのかは僕の時計ではわからない。カナダではTVチャンネルをかえると、表示されている時間に微妙なずれがあるので、それに合わせる僕の時計も“だいたいそのぐらいだろう”という時間になる。電波時計用の電波も北米ではとんでいるらしいが、知っている範囲のカナダ人でそれを気にしている人を僕は知らない。
ウイスラービレッジでのカウントダウンも5分ぐらい違うのは当たり前なので、TVを見ながら「ビレッジではこれからカウントダウンだから急げば間に合う」なんて冗談を言っていたが、今朝聞いたところでは、カウントダウンがすごく盛り上がっって「3回もカウントダウンしていたからどれが本当だったかわからなかった」とのことだ。
また、「そんなことではこまる」という意見も聞いたことがない。
たまたま時計がなくて、人に「今何時ですか」なんて聞くと「いい質問だ、俺もそれを考えていた」、「日の沈み具合では4時過ぎだろう」なんていう答えが返ってくる。たまに時計を持っている人がいても「大体○○時、○○時の15分前、15分後(アラウンド○○、クオーターツウ○○、クオーターアフター○○」と15分単位ぐらいの答えが返ってくる。だいたいそのくらいの単位でわかればいいのだろう。人の時間なんてそんなものなのかもしれない。

ところで1月1日早々暗いニュースだが、ウイスラー山でスキーヤーとスノーボーダーがトリガーになり雪崩が発生した。禁止されているパーマネントクローズドエリアにはいった二人が自ら起こした雪崩で若き命を失った。
スキーエリア内のパーマネントクローズドエリアには絶対はいってはいけない。今回はたまたま入り込んだ二人の命が奪われたが、場合によってはクローズドエリアの下部を滑っていた人たちが雪崩に巻き込まれてしまう可能性もあったのだ。
“失敗”とかいて“けいけん”とよむ。過去から培われてきた規則は尊重されなくてはならない。悲しい新年の始まりになっってしまったが、僕らはそういうことから学び続けたいと思う。

1月1日 新雪0cm 積雪168cm 山頂温度-8℃ ビレッジ温度-4℃

写真1:ウイスラー山頂上より。
写真2:ブラックコムスキーエリア頂上よ
たくさんの 雪のなかに 僕がいる。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2007/12/31 15:00:05




お久しぶりです。ウイスラー在住19年目に突入した現地ガイドの野口です。今年もウイスラーからの「極パウ」情報を、不定期ながら発信させていただきます。今シーズンもよろしくお願いいたします。

今年は日本も雪が多く降っているようですが、ウイスラーも今年は例年以上によいシーズンを迎えています。12月30日現在積雪175cm、24時間で10cmの新雪、一週間で41cm。年明けそうそうにはビックシステムがきて一日30cm〜50cmの新雪が予想されている。まあ、今年は早々と12月3日にも37cmの超新雪があったのだ。が、朝の9時過ぎから急激な気温の上昇による大雨と嵐のような風にやられて“ウイスラーらしい”コンクリートのようなパウダーに変わった。滑っていると足元が固まって動かなくなる、、、。
でもそのとき以外はとてもよい“ウイスラーらしからぬ”軽いパウダーをいただき続けている。

ところで、バンクーバー在住の日本人コラムニストが今年の日本の夏を訪れた。あまりの熱さに生命の危機を感じ、「日本の夏 緊張の夏」というコラムを書いていた。寒波の訪れている今の日本からは考えられないが日本の夏はとてもとても熱かったと聞く。
そんなわけで温暖化について書かれているコラムも多いが、感覚としては季節が極端化しているような感じだ。
今、たくさんの雪の中に僕がいるので、単純に毎日毎日滑りまくっているが、いずれみんなでグローバルな地球環境について考えていかなくてはならなくなるのだろう。

今年、12月中旬には三浦敬三さんの長女の雪子さんをはじめ、三浦敬三さんと滑っていられたシニアの方々が、“たまたま偶然に”ウイスラーに集結されていた。まったく違うツアーで、約束も何もしていなかったとのことだ。「敬三さんがあつめてくださったのよ」と言われた方がいたが、まったくその通りだなあって思った。

はたして僕らは100歳までスキーができるだろうか?それはそこまで生きれるかどうか、生きたとしてもスキーをする体力や気力があるか?というよりも雪そのものが存在し続けるのか?

よく星占いを信じる人がいる。星の動きによって僕らの運勢が左右されているという。しかし、物事には必ず作用と反作用の法則がある。それならば逆に僕らの働きによって星や地球の動きも変えられるはずなのだ。僕らが「スゲエ!!」とか「気持ちイイ!!」、「ヨーロレイ!!」とか叫びながらシニアの方々や若い女の子やらみんなで滑り続けることが地球にも作用するはずでありメッセージなのだ。雪のない地球なんて守る意味もない。
No Snow No Life!!

写真1:ウイスラーといえば佐々木大輔さん(左端、十和田)。いまちょっと怪我で休んでいるけれどすぐ元   気になるでしょう。
写真2:三浦敬三さんと滑ってられたお仲間たち。12月中旬。
写真3:坂本豪大さん(左端)もウイスラーの顔の一人。
写真4:2007年4月2日にカナダにて雪崩事故でなくなった松井大輔さんのメモリアルスティッカー。

バンクーバー新報、メープル48号もご覧ください。http://www.v-shinpo.com/stay/07maple.html 


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