投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/04/01 09:30:57


「 インターナショナルツリーのあたりパウダーだった」、「ボンサイもよかった」、「カイバー2本行ってきた」、「マッコンキー今年ヤバイよ」。
 こういった会話が交わされる。コースの名前はウイスラーのゲレンデ内か、バックカントリーだけどわりと気軽にいけるエリアだ。勿論ゲレンデマップにはのっていないコース。そういった所を滑るとなんとなくローカルの仲間入りできたような気がして、普通に滑る以上の満足感があるコース。
 無論日本のゲレンデでも“○○の壁”“熊落とし”といったコース名があって、そこを滑ったらなんとなくエラクなったような気がするコースがある。

 ウイスラーで滑るといった場合、“未知に憧れる”“好奇心を駆り立てられる”“挑戦してみたい”といった旅の要素があるように僕は思う。そういった大きな山であり、それを許容する文化がウイスラーにはある。10代20代の青春期にここで過ごす事、ここに滑りに来る事は目に見えない何かがウイスラーから与えらるものと思う。10代20代の青春期の旅や放浪が大きな影響をその個人史に与えるように。
 もちろん年齢なんかには関係なく自己発見や自己啓発、自己肯定があり、“求める人には与えられる”、周りの人もそのことを応援するという雰囲気がある。

 ウイスラーでは“滑る以上の何か”が滑ることを通して与えられるのだと思う。


  イトウアイさんの行方不明の件はとても残念なことだ。

 今回僕は911事件後のウイスラーをなんとなく思い出した。911後のウイスラーは賑やかだった。911直後、各都市のホテルでは宿泊料金を上げたところも多かったようだが、ウイスラーでは値段を下げたと記憶している。やむ負えないときは助け合う。バンクーバーでは、ホテルが満杯で泊まれない人達を泊めてくれるボランティアの家庭を募っていた。9月11日の夕方にはウイスラーで哀悼の意をこめてキャンドルサービスが行われた。事件の被害者を暖かく迎えていた。

 今回のYoung Japanese Girlのことは瞬く間に知れ渡り、最大規模の捜索が行われ、誰もが心配し、そして悲しんでいる。
 詳しい状況など僕は分からない、追って知られてくる事だろう。

 イトウアイさんには面識はないけれど、同じ時期に同じように山を楽しんだ仲間として、一刻も早く行方がわかることを望まずにはいられない。


3月30日 新雪1cm 1週間で33cm  積雪269cm 年間降雪量954cm 山頂温度-10℃ ビレッジ温度2℃


写真1:イトウアイさんの情報を呼びかけるポスター。
写真2:ウイスラー山とブラックコム山。
スパンキーズラダー・ラッシュ 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/03/24 13:48:56


 3月23日の今朝、行きがけに「極パウ」をアップしてスキー場に行って来たが、今日は今シーズンでもベスト3に入るかと思えるほどの素晴らしい一日だった。
 朝方は雪が降っていたのに昼前には青空が広がり、ハイアルパインエリアのゲレンデが次々オープン。3月下旬でこれだけの素晴らしい新雪。この新雪はイースターホリデイを楽しんでいる人たちへの神様からの贈り物。“アンビリーバブル”って言う声がリフト乗り場で聞こえてきた。ホントに信じられないぐらいの素敵な日だった。

 そして一緒に滑ってくれたみんなにも感謝。同じウイスラーに住んでいても普段なかなか一緒に滑れないけど、今日はたまたま偶然山であった。というか基本的な思考回路は一緒だったのか?
 
 写真1はスパンキーズラダーに我先にと急ぐ人々。この尾根の裏側のサファイアボウル、ダイアモンドボウル、ルビーボウルへの入り口。すべてのボウルがダブルブラックダイアモンドのエキスパートコース。このエリアは楽しすぎてヤバイです。

 午後3時でスノーベースは275cm、降雪921cm、山頂温度-13℃。4時過ぎからは再びビレッジまで降雪が始まり6時ごろにはかなりの大雪模様になった。

 明日も早起きして滑りに行かねば。

写真1 スパンキーズラダー・ラッシュ。
写真2 3月23日、チムニーエリアにて。
    R>Yukko Araki

フルート・ラッシュ 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/03/24 00:23:16



 3月20日にビレッジまで雪が降り、その後天気の良い日が数日続いた。

 以前はウイスラーのバックカントリーだったフルート山、数年前よりパトロールによる雪崩コントロールが行われるようになり、ゲレンデ内バックカントリーともいえるエリアとなった。
 昨シーズン、フルート山隣のピッコロ山にシンフォニーチェアーがかかり、より容易にアクセスしやすくなった。それでもフルート山には20分から30分ぐらい板を担いで歩いて登らなくてはならないというところは変わらない。雪崩コントロールはされているので比較的安全にバックカントリーの練習ができてパウダーを楽しむことができるという素晴らしいエリアだ。

 3月21日はそのフルート山に向けて、ラッシュアワーともいえるほど人の列ができていた。ファンシーなウエアに身を包んだ母娘やその友人たちのグループはきちんとスキンをつけて登っていた。これって本当に母娘のスキンシップだなあって思った。

 かつてはフルート山まで登る人は少なくて、フルート山を滑るというと、それなりのバックカントリー装備をもっていかなくてはならず、なんとなく優越感に浸れて、ちょっと偉くなったような気になれて自慢できた。フルート山の頂上に野菜や肉、お鍋やコンロを担ぎ上げてショベルでテーブルを作って“フルートでお鍋”なんて企画もやって楽しんだ。
 お鍋のあとはみんなでフライパンなどをパックして雪庇を飛んでウイスラーに帰ってきた。そのとき「フライパンが頭に当たってパーンと音がしたで」なんて言い合っていた。

フルート山からさらに奥のオーボエ山、カウボウイ・リッジ、フィッスル山へと続くシンギング・パスの峰々は本当のバックカントリー。

 3月23日イースターホリデイの今日。ウイスラー山のHPでは15cmの新雪と表示されているが、スノーフォンで確認するとすでに22cm、朝8時、さあ今日も滑りに行ってきま〜す。

 ウイスラーって本当に楽しいですよ。

3月23日 新雪15cm(電話では最新情報22cm) 7日で50cm 積雪265cm シーズン降雪904cm 山頂温度-8℃ ビレッジ温度1℃

写真1 3月21日、小学生ぐらいの女の子がお母さんやそのお友達と一緒にスキンをつけてフルート山を目指して行った。
写真2 3月20日 フルート山とオーボエ山の間で。詳しくは佐藤八起さんのブログで:
http://yaokisato.seesaa.net/article/90354776.html#more
R> Shinobu Sasaki P>Yaoki Sato L>Between Flute Mt & Oboe Mt
写真3 3月22日 オーボエ山方面。気持ちのよいバックカントリーエリアです。

キャデラックと呼ばれた男 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/03/20 11:29:50




 「おい、キャデラック見たか?キャデラック」「このゴンドラに頭下げて乗ってきたぞ」「205cmの板があごだった」。ウイスラーの若者がこんな話をゴンドラの中でしていた。よくよく話を聞いていたら、とにかくでかい人間がウイスラーに来ていて、勝手にキャデラックとあだ名をつけていたのだ。
 それは是非見てみたいなと思っていたら、ラウンドハウスロッジの人ごみの中に兎に角肩から上が出ている人間がいた。「でけえ!!」とつい声を出してしまったらニヤッと笑われた。もうこれは15年ぐらい前の話だ。キャデラックさんは縦だけでなく横も大きかった、多分230cmぐらいはあったと思う。
 当時、スキーは細い板で、なんとなく長いスキー板を履いていたらエライ様な気がして僕も205cmぐらいの板を無理に履いていたのを覚えている。男は単純だなと思う。同様に女性の胸も大きいほうがエライ様な風潮があるかもしれないが謙虚謙譲謙遜顕微でもよいだろう。
 ウイスラーではいまでもたまに205cmと書いてある板をはいている人もみるしDHの板の人もいた。モノスキーを履いている人にも会う。スノーサーフィンと呼ばれていた時代のスノーボードみたいなのにのっている人にも会う。
 ウイスラーで楽しく過ごそうというのにモノはあんまり関係ないのかもしれない。なにしろ世界中からいろいろな人達が来る。冬のウイスラーに住むボランティアでさえ30カ国以上850人以上の登録が昨シーズンにはあったらしい。働く人もゲストもみんな人それぞれに楽しめればいい。

 ところでウイスラーのシーズンパスにアンバサダーパスというのがある。これはウイスラーのことをゲストに紹介するという名目のシーズンパスで少し安くなる。
 かつてアンバサダーパスのために、丸々一日講義を聴いてウイスラーの観光にも連れて行ってもらったのを覚えている。そのときに“ウイスラーで一番小さい家”というところにも連れて行ってもらった。
 ちょっと前にウイスラーで一番高く売れた家の記録が更新されて、たしか16だか17ミリオン・カナダドルぐらいだったと思う。今では一番小さい家でもいまではそれなりにお値段はするのかもしれないけど、そういうところを紹介していたところにもウイットの利いたウイスラーのよさや面白さがあると思う。

 話はとぶがこの前の「極パウ」で怪我人が多いことを書いた。ウイスラーで活躍する佐々木大輔さんも今シーズンはじめに怪我をした。まだ完治していないのに、先週レイクルイーズで行われたビッグマウンテンチャレンジで12位を獲得。すごいです。詳しくはこちら http://www.sasakidaisuke.com/LL08.html
 友人のTさんも女性ながら雪庇を飛んで膝で鼻を強打して鼻血ブーちゃんになったが自力で下山。クリニックにいったらヒビが入っていたそうだが「保険に入ってなかったら医者に行かなかったかも」だって…。かつて、カリスマインストラクターのKさんも他人からみたら大怪我なのに「お金がないから安い薬で治してください」と医者に言っていた。ウイスラーには怪我を怪我と思っていない人が多い。
 
 とりあえず皆さん早く良くなってくださいね。祈っています。

3月19日 新雪1cm 1週間で17cm 積雪243cm シーズン降雪量864cm 山頂温度-6℃ ビレッジ温度2℃

写真1:1988年から稼動しているウイスラー山のゴンドラ、板ごと中に乗り込むタイプ。
写真2:ウイスラーで一番小さい家と紹介されたお家。
写真3:3月16日、スロープスタイルの大会より。
写真4:写真3月17日、山には結構いい雪が降っています。
    R>Andy Quirk L>Blackcomb Mt Chimney Area
夏時間 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/03/14 11:56:27




 カナダは3月9日をもって夏時間になった。といっても特別何かが変わるわけではなく、8日寝る前に時計を1時間進めて普通に生活をする。単に時間が1時間ずれるだけ。
 8日の朝、「今日から夏時間でしたっけ、遅刻したかも」って職場に電話をかけて一日早とちりした人。9日に「朝、TVをみたらまだ冬時間でしたよ」って教えてくれるお客様。ゴンドラ乗り場の前の時計台の時計は4日たった現在も冬時間を刻み続けているし、ブリューハウスレストランの時計台はなぜか30分ずれた夏時間と冬時間のあいだを刻んでいる。
 TVの時間ですら1日ぐらい間違えるのだから街の時計台が1時間ぐらいずれていても気にしてはいけない。
 
 日の出の時間が1時間遅くなった。ウイスラー山のフレッシュトラックツアーに出かけると、再び朝食を食べる時間に日が昇るようになった。やはりフレッシュトラックでは日の出を見ながら「よしっ」と気合を入れつつ朝食を食べたい。

 「以前、夏のウイスラーに来たらみんなマウンテンバイクをもっているか松葉杖を持っているかのどちらかだという印象でしたよ」と教えてくれたお客様。確かにそんな印象を与える。冬のシーズン初めのウイスラーもスキーか松葉杖か?そんな印象だった。
 春になるとライダー達は“今怪我をしても夏には直るから”。夏には“冬には間に合うだろう”と考えているわけではないだろうが怪我人が多い。

 重力によってもてあそばれているのかもてあそんでいるのか?

 最近、朝のバスも降雪で遅れることがなくなった。というか2分ぐらい早く来て行ってしまったり、5分ぐらい遅れたりするので相変わらず油断ならない。「あ、バスが目の前なのに行ってしまう!!」と思ったら親切な人が「乗っていけ!」って逆ヒッチハイクで車に乗せてくれた。こんなこともこの数日で2回。ウイスラー、優しい人多いです。

 ところで、XCスキーで南極点に行った続素美代さんと同じチームだった70歳のカナダ人のピーター・ブレイキーさん。途中で遠征をあきらめたそうだがそういった冒険心をとても尊重する文化がカナダでは定着していると思う。
パウダーが降ったときに、崖から飛び降りる人を決して止めたりせず、“Do it!”“Go for it!”と勇気づけるところにもそういった文化がある。
 この数日前にパウダーが降ったが、これからのパウダーは一回一回が貴重になってくるのでなんだかより競争が激しくなってきているような気がする。崖を飛び降りたかったらさっさと飛び降りたほうがいい。パウダーを滑りたかったら人を待っている場合ではない。

     ウイスラーのバイブルより。
   “In Whistler Gravity Is Revered Like A Deity”
    −ウイスラーにおいて重力は神のように崇敬される−

3月13日 新雪0cm 1週間で31cm 積雪242cm シーズン降雪量847cm 山頂温度-9℃ ビレッジ温度0℃

写真1:3月12日、リセットされたピークチェアーに並ぶ人だかり。
写真2:3月12日、初代ウイスラー「極パウ」報告者の佐藤八起さんに紹介された穴場にて。R>Hideo Noguchi L>Whistler Mt Below West ridge Area P.>Tomomi Sato
写真3:スキーやスノボを無料で試乗ができるデモセンター。
写真4:ウイスラービレッジ広場にあるプラーク。
“In Whistler Gravity Is Revered Like A Deity”
    −ウイスラーにおいて重力は神のように崇敬される−

雪が降っては晴れる、雪が降っては晴れる。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/03/06 13:48:30




 雪が降っては晴れる、雪が降っては晴れる。そんな感じのウイスラー、要するに楽しいのである。ここ数日はスキーやボードのイントラになる資格試験が続く。友人や同僚の何人かはその試験にチャレンジする。技術の練習やティーチングの練習。自分たちでシナリオをつくって互いにシミュレーションをする。同じ苦労をして努力する。そうやって喜びを分かち合った仲間たちは一生の友人になるのだと思う。
 
 ところで3月5日に予定されていたBC州スキー技術選が、3月3日に突然日にちが変更されて4月になった。元々オフィシャルなものではないが、そのために休みをとって練習していた人もいただろう。なんでも選手で出る予定だった人達がイントラ試験の試験管で忙しいから変更になったらしい。思ったより試験を受ける人が多くて試験管が足りなくなったのか?「そのくらいの予定は計算しとけ!」とも思うが「まだ練習できるからいいや」ってコンプレインを聞くこともない。
 まあ、頑張ろうって思うことは一生のことだからちょっとくらい予定が変わったからといって文句を言っても仕方ない。
 
 前々回の極パウに恥ずかしながらステンマルクさんとの写真を掲載した。三浦敬三さんも“ステンマルクの滑りのビデオを何回も何回も見て研究して90歳後半になり、サインを貰ったと子供の様に喜んでいた”というメールを頂いた。
 スキーのように年齢に応じて一生課題を持ち続けられて、まだまだ進歩できるっていうスポーツほかにあるかな? 

 雪やスキーに出会えたことに感謝。

 話は変わるがブラックコムスキー場の頂上付近に“プロポーサル・ポイント”というのが数年前にできた。僕は見逃していたのだが、昨年同僚が教えてくれた。
 景色の良いこのポイントでプロポーズして、その結果で岩だらけの超急斜面に飛び込むのでもよし、快適な氷河コースを滑るのでもよし。ニセコの頂上でプロポーズしたというお客様もいたが、某日本人カリスマ・インストラクターもここでプロポーズしたとかしないとか?
 もし地元ウイスラーに住む女性にプロポーズしたら「OK、レッツゴー」って迷わず急斜面に飛び込んでいくだろう。プロポーズなんて精神的な意味では命がけだろうけど、ここでは肉体的な意味でも命がけになってしまう。

 まあ、なんにしても努力して進歩し続けなければならない。


3月5日 新雪0cm 1週間で38cm 積雪246cm シーズン降雪量816cm 山頂温度-4℃ ビレッジ温度-4℃

写真1:プロポーサル・ポイント。写真撮影ポイントです。
写真2:3月4日、雪が降って晴れ。
写真3:ブラックコム、テラインパーク入り口。
写真4:XLのキッカーを飛ぶスキーヤー。

エンドレス・ウインター 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/03/03 13:44:39




 「ウイスラーに住んでいて、最も良いお金の使い方は?」というアンケートでずっと一位になっている回答がある。答えは「シーズンパスを買うこと」。ちなみに「給料日まで1週間あるのに残り$10しかない。まず何を買う?」というアンケートでは「とりあえずビールだ」というのが一位。
 “心配は罪”という考え方がある。あまりにお気楽なのはどうかとしても、取越し苦労で心配しすぎるよりは“何とかなるよ”って構える人が多い。

 ところで3月上旬には夏時間に変更されるカナダ。たしかにここ最近は暖かい日が多くなってきた。でもウイスラーでは6月上旬まで滑れるので、11月下旬からはじまった冬は6月上旬まで続く計算になる。シーズンパスさえあればとりあえず半年は遊べる。遊ぶだけでなくアドベンチャーもできるし友だちをもてなしたりもできる。悔しかったりうれしかったり達成感や満足感を味わう。もっと頑張ろうって気持ちになり目標や目的を持てる。なんだか魔法のカードのようなものだ。

 山の上ではウイスラー山のラウンドハウスの前に雪の彫刻ができた。オリンピックに向けてスノーボードのHPとスキーで舞っているような彫刻。見に来てください。
 3月1日、2日とスキージャンプの大会がカラハンバレーのオリンピック競技場で行われた。本番のときは有料だろうけど今回はただで見ることができた。オリンピックの元メダリストも飛んでいた。
 2月29日と3月1日はナイターパイプでトータル$50000のプライズをかけたスノーボードのショーケース・ショーダウンという大会も行われた。先週のFISワールドカップに続いてエンドレスでイベントが行われている。もちろん4月にはWSSF(Whistler Ski Snowboard Festival)を控えている。
 3月1日は久しぶりに16cmの新雪。朝7時15分からはじまる650人限定のフレッシュトラックと朝食ツアーにも100人以上があぶれて参加できなかった人がいた。ここではパウダーに対する熱誠が薄れることはまったくない。今年はまだ8mぐらいしか雪が降っていないので例年平均まではあと2,3mは降るはずだからまだまだパウダーも楽しめるはずだ。

 山岳リゾートのウイスラーでは冬に平行して春が来て、夏が来て秋が来てまた冬が来る。夏でも山の上のほうでは氷河や残雪があるおわりなき冬。
 真っ青な雪解け水の湖や空、氷河湖の緑や木々の新緑、白い雪や氷河から日が昇りそして日が沈むウイスラー、時にはアルパイングローといってピンク色に染まる山々。

ウイスラーはこれからが楽しいですよ。みなさん遊びに来てくださいね。

3月2日 新雪0cm 1週間で31cm 積雪245cm シーズン降雪量805cm 山頂温度-9℃ ビレッジ温度+3℃

写真1:ウイスラー山ラウンドハウス前にあるスノーボードHPの雪の彫刻。
写真2:自然の地形を上手に利用したカラハンバレーのスキージャンプ競技場。
写真3:飛んでます。
写真4:カラハンバレーのXCスキーコース。大きな木にサルオガセのぶらさがる森の中、フィトンチッドをたくさん呼吸しながら歩いたり走ったり…。とてもリフレッシュできるコースです。

FISワールドカップが開催されました。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/02/27 09:27:48




 2月21日から24日まで無事にFISワールドカップが開催された。男子スーパーGとGS,女子ダウンヒルとスーパーコンバインド。心配された天気も良いほうにはずれたのでオリンピックに向けても良い結果になったと思う。ボランティアの人達は、朝6時前から準備して大会を支えていたとのこと。僕が見に行ったのは男子GSだけだったけれど、すごく盛り上がっていたし見ていて面白かった。今からオリンピックが楽しみです。
 来年はブラックコム山でスケルトンやボブスレーの大きな大会も開催されるだろう。ウイスラー近くのカラハンバレーにはノルディックセンターもできている。大きな木の間を抜けて走るXCコースは散歩しても走っても気持ちが良い。

 ウイスラーではフリースタイル系のワールドカップやスノーボードのワールドカップはつい最近まで開催されていた。が、スキーのアルペン系は久しぶりの開催。天候不良で男子DHが2年連続でキャンセルされてからしばらく開催されていなかったので、今回の開催の成功はとても大きな意味を持つと思う。

 ワールドカップ開催中に配られたパンフレットに82年から95年まで開催されたアルペン・ウイスラーワールドカップの歴代ウイナーの名前がのっている項がある。地元ウイスラーのロブ・ボイドが優勝した89年2月。そのときにいた日本人の友人から「あの時はすごかったよ」。「優勝した次の日にロブ・ボイドを山で見かけたけどなぜかテレマークだった」とか。優勝しても、もともと雪山で遊ぶのが大好きなのでしょうね。
 現在はフリースキーヤーで日本にも行っているトミー・モーは、93年DHで2位、94年DH3位、次の日のSGでは優勝している。ウイスラーと相性がいいのだろうか?トミー・モーにとってはウイスラーに良い思い出が残っているのではないかと思う。僕の印象に残っている選手だ。

 選手としてではないが、ステンマルクも90年にウイスラーにきている。カールトンロッジの地下のレンタルショップのところでサイン会が行われていた。たまたま人が少なかったので一緒に写真に写ってもらった。

 今回のFISウイスラー大会も記録に残ると同時に色々なひとの記憶に残るものとなったと思う。ボランティアの皆さん、お疲れ様でした。


2月26日 新雪0cm 積雪230cm シーズン降雪量774cm 山頂温度-3℃(2月26日の公式HPでは-72℃になっています。ありえないので電話で確認しました) ビレッジ温度+5℃

写真1:男子GSゴール直前。
写真2:ゴールエリア。
写真3:カナディアンが暫定1位になるとすごく盛り上がった。
写真4:別枠:90年にウイスラーにきたステンマルクさんと。

滑ればうららかな春日和。 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/02/20 23:56:04




 2月15日に雪が降って以来、うららかな春のような陽気の続いているウイスラー。昨日の天気予報では、“今日からビレッジでは雨、山は雪”だったけどあけてみれば今日もよい天気だった。今年のウイスラーの天気予報ははずれる確率80%ぐらいだろうか?それもことごとく良いほうにはずれる。雨かと思うと晴れ、雨かと思うと雪。「3日後からは雨になりそうだ」「どうせまた明日になったら天気予報変わっているよ」、そんな会話が交わされる。そんなわけでこのところずっと毎日滑っている。

 昨日まではアメリカのプレジデント・ウイークでとてもゲレンデは混んでいた。また数日後にはFISワールドカップを控えている。なんとなくずっと賑やかなウイスラーです。
 ゲレンデがちょっと混んでいるので半日ぐらいで行けるバックカントリーに2回行った。ゲレンデ内には新雪はほとんどないけど、ちょっとバックカントリーに踏み出せばまだかなりいいパウダーにめぐり会える。

 ウイスラーの人達はよほど山の上まで雨でない限りみんな滑っているように思われる。実際にはきちんと仕事に行っているのだろうが、朝の通勤のバスに乗っているとまるでスキー場のゴンドラの中にいるような錯覚を覚える。通勤らしい服装でいるのは10人に一人ぐらい。残りは板を抱えていたり、ヘルメットをかぶっていたりで、どうも滑りに行くらしい服装だ。もちろん雪国なのでそういう服装で通勤している人も多い。

 天気が良いのでヘリスキーもほぼ毎日フルブックになっているみたいだ。ちょっと前にウイスラーのヘリ会社で働いている友人のところに遊びにいったら、自宅でヘリスキーのグループ分けの仕事をしていた。ヘリ1台にのるグループ全体での重量を考慮しなくてはならないので、個人の体重や技術を考慮しながらグループ分け。「この人は220パウンドか、ここにいれるとこのグループちょっと重くなるなあ」「パナマからのスノーボーダーか、エキスパートって申告だけど本当にエキスパートグループにいれて大丈夫かなあ?」等などいろいろ考えながらパズル合わせのように振り分けている。
 そういえば大相撲カナダ公演のとき、飛行機のファーストクラスにお相撲さんがたくさん乗ってしまうと、前が重くなりすぎでバランスが悪くなるので付け人の人達は後ろの方に乗せたとか…。たかだか人の体重でもきちんと考慮しないといけないものらしい。

 ところで最近は飛行機に乗るのでもサーチャージが高くなって、荷物の重量についても厳しくなってきている。スキーヤーやスノーボーダーにとっては悩まされるところだ。
 僕はいっそのこと体重荷物総重量制というのを取り入れてみてはどうかと思う。要するに持ち込む荷物をもったまま人間も体重計にのってどん。その重さによってサーチャージの値段を段階的に変えていくというシステム。もちろん飛行機内において占める空間体積も考慮しなくてはならないかもしれないが、なんとなくその方が公平なような気がする。体重が軽ければスキーやスノボも持ってきやすくなる。どんなもんでしょうかね?

2月19日 新雪0cm 7日間で13cm 積雪238cm シーズン降雪量774cm 山頂温度-3℃ ビレッジ温度+0℃

写真1:ウイスラーの通勤バス内。まるでスキー場のゴンドラ内みたいです。
写真2:2月17日夜、ウイスラーでパレードがありました。オリンピックマスコットのクワッチ(左)とミガ(右)。
写真3:2月17日 BCにて、“ちょっと登ればいいパウダー”
    R>Kojiro Horike L>From Speahead Mt to Blackcomb Glacier
写真4:2月19日 BCにて、“裸で滑る春日和”
    R>Andy Quirk L>Below Corona Bowl
今日は滑った? 投稿者:野口英雄 投稿日時:2008/02/18 00:57:05


 この数日天気のよいウイスラーです。先日は疲れていたので、仕事は休みだったが、滑らずにゆっくり家で過ごしていた。夜には近くのメドウパーク・スポーツセンターにいってトレッドミルで軽く走って軽くウエートトレーニング。このメドウパーク・スポーツセンターは毎週金曜日の午後6時から10時まで入場料たった$2(200円ぐらい)なのだ。サウナやジャクジーに入りプールで泳ぐだけでも十分元はとれる。
 汗を流してサウナでボーッとしていたら知らない人から「今日は滑ったか?」と聞かれた。「滑らなかった」と言ったら「何でだ?今日はすごいよかったぞ」と畳みかけてきた。“疲れていた”というのは正当な理由としては認められない雰囲気。滑らなかったことはとても悪いことをしてしまったかのような勢いだった。
 仕方ないので「仕事で滑れなかった」とつい嘘をついてしまった。「それはすごい残念だったな」と同情されたのだが、僕は嘘をついてしまったことに罪の意識を感じた。正直に“疲れていたから”と答えて「疲れているぐらいで滑らなかったのか?」と見知らぬ人から非難ごうごうされた方がよかったのかもしれない。

 どうもこのウイスラー、雪のよい日にやむ負えぬ理由がないのに滑らないと悪いことをしてしまったかのような雰囲気がある。これから嘘はつかずになるべく滑らねばと反省した。

 最近は春の鳥の鳴き声もちらほら聞くようになったウイスラーです。

2月16日 新雪0cm 48時間で11cm 積雪247cm シーズン降雪量774cm 山頂温度-5℃ ビレッジ温度+1℃

写真1:2月16日、ブラックタスク。右下にスキーヤーがいます。
写真2:2月16日の午後7時。King Of Railの大会が行われていた。


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